内服治療
ADHDに対する内服治療はなかなかイメージしづらい、という話をよくお聞きします。どのような改善パターンがあるのか具体的なケースで見ていきたいと思います。
※ケースの内容はいくつかの症例を元に作成した架空症例となっています。
仕事中に眠い、ミスが多いケース(コンサータ)
Aさんは大学卒業後、就職しましたが、どうにも仕事中の眠気がおさまりません。寝不足かと思い、睡眠時間を長めにとるようにしても改善しません。重要な会議や社長との面談といった大事な場面でもうとうとしてしまうことがあり、このままでは就労の継続が危ういと悩み受診されました。
ADHDの中でも覚醒度が低く、日中眠くなるケースになります。副作用を含め、メリットデメリットを説明した上でコンサータの内服を開始しました。比較的短期間で効果を感じるようになり、「今までの眠気がうそのように晴れた。会議にも集中できるようになり、聞き洩らしが減った。今までは大事な場面でうとうとしていて怠けていると思われていたがそれもなくなった」とかなり働きやすくなったとのことです。それ以降定期的な通院、内服を続けることで就労を継続しておられます。
初診の問い合わせはこちら>>授業に集中できないタイプ(コンサータ)
Bさんは大学受験を目指している予備校生です。集中に波があり、じっとして授業を受けることが苦手です。高校生までは気分が向いたときに勉強することである程度の成績をとれていましたが、目標としている大学に受かるためには、きちんと授業を聞いて、ある程度まとまった時間勉強することが必要だと感じています。しかしどんなに頑張っても90分の授業を落ち着いて受けることができず、途中で何度もトイレ離席をしてしまいます。自習室でも続けて勉強し続けることができず成績も一向にあがる気配がなく思い悩み受診されました。
ADHDの中でも注意の持続や落ち着きに支障があるケースになります。副作用を含め、メリットデメリットを説明した上でコンサータの内服を開始しました。比較的短期間で効果を感じるようになり、「90分の授業を離席なく受けることができるようになった。自習室利用も1時間単位でまとまった勉強ができるのではかどるようになった。」と以前より勉強に取り組みやすくなったとのことです。残り期間勉強にしっかり取り組むことで見事第一志望の大学に合格し進学されました。
初診の問い合わせはこちら>>夜勤をしているがミスが多い、マルチタスクが苦手(ストラテラ)
Cさんは夜勤がある仕事で働いていますが、仕事中に眠くなる、ミスが目立つ、複数のことを同時に言われると抜けが目立つ、などの症状があり、たびたび上司に怒られることで思い悩み受診されました。
ADHDの中でも不注意、特にマルチタスクを苦手とするタイプです。副作用を含め、メリットデメリットを説明した上でストラテラの内服を開始しました。焦らずじっくり増薬していくことで2か月経過する頃には「夜勤中にも頭がすっきりしている」「以前なら何か言われると元々やっていたことを忘れてしまっていたが、どちらもこなせるようになった」など効果を実感するようになったとのことです。上司からも「最近しっかりしている」と評価されるようになり、一時は退職も検討していた仕事を続けておられます。
初診の問い合わせはこちら>>寝起きが悪く、遅刻が多い(ストラテラ)
Dさんは小さい頃から寝起きが悪い子供でした。小学校時代は親に起こされることで、なんとか遅刻しないよう頑張っていましたが、中学高校と自身で起きるようになってからは遅刻が目立つようになりました。大学入学後は時間割が不規則なこともあり、ほぼ毎日のように遅刻するようになりました。単位も複数落としてしまい、このままでは留年してしまうと悩み受診されました。
ADHDの中で睡眠サイクルの乱れ、遅刻が顕著なタイプになります。副作用を含め、メリットデメリットを説明した上でストラテラの内服を開始しました。寝起きの良さに関しては比較的早期から体感するようになり「目覚ましが鳴るよりも早く起きられるようになった」とのことです。内服量を増やすことでスケジュールの確認もできるようになり、目に見えて遅刻が減っています。それ以降定期的な通院、内服を続けることで一時期は危ぶまれた留年を回避し、進級しておられます。
初診の問い合わせはこちら>>頭の中が騒がしく集中できない、ぼーっとしていると言われる(インチュニブ)
Eさんはじっと座っていることはできますが、頭の中に次々考えが浮かんでくる、目の前のこと以外のことをあれこれ考えてしまう、何も考えないでおこうとしても抑えることができないなどの症状があり、周囲からは「話を聞いていない」「ぼーっとしている」と指摘され、時に周囲と衝突することで悩み受診されました。
大人のADHDでは良く見られる症状で、いわゆる「頭の中の多動」で困っているタイプです。寝ようとしても頭の中が騒がしく、なかなか寝付けない、寝ても夢を見ることが多く、眠りが浅いといった症状にも悩んでおられました。副作用を含め、メリットデメリットを説明した上でインチュニブの内服を開始しました。焦らずじっくり増薬していくことで2か月経過する頃には、「余計なことを考えずにいられるようになった」「目の前のことをきちんと考えられるようになった」「夜も夢をみずぐっすり寝られるようになった」など効果を実感するようになったとのことです。周囲からも「話が通じるようになった」と言われるようになり、周囲との衝突が減り生きやすくなったそうです。
初診の問い合わせはこちら>>診断書によるサポート
具体的な内容を記載した診断書を作成
最近は大学においてADHD特性に対する配慮が得られるケースも増えてきました。しかしADHDの患者様の困り方は多種多様なため、診断名だけでは大学側が対応に苦慮するケースがあるようです。実際にあったケースですが、他院でADHD診断を受け、配慮に関する診断書を作成してもらったそうです。しかし記載内容が「ADHDと診断した。配慮を要する」と言った記載のみだったため、適切な配慮が得られず、結果的に留年してしまいました。適切な配慮を得るためには、「何に困ってるのか」「どのような特性が関与しているのか」「具体的にどのような配慮が必要なのか」を記載する必要があります。
当院では多数の大学生を診断治療してきた経験から、大学にどのようにアプローチするのかなど相談した上で、具体的な内容を記載した診断書を作成しています。最適な配慮を得ることで進級、卒業の可能性を高めることを目指します。
※配慮には大学側の理解、協力が不可欠であり、最終的に配慮が得られるかは大学側の判断となります。大学により得られる配慮にはかなり差があります。
※進級や卒業を確約するものではありません。
※診断書作成は当院で診断治療しておられる患者様のみ作成できます。
初診の問い合わせはこちら>>心理士によるサポート
話す中で困りごとに気付く、自覚する
ADHDの特性は誰にでもあるような内容でもあるため理解が難しいところがあります。周囲から見ると大変困っている状況にも関わらず、ご本人は自分にとって当たり前となっており気付けていないケースも多々あります。
心理士との面談の中でそれらの困りごとを具体的に把握し、治療者、患者間で共有していくことを目指しています。
不注意改善プログラム
困りごとの程度や状況によりますが、内服治療以外での改善を希望するケースでは心理士による不注意改善プログラムを実施しています。改善する課題を決め、目標や回数などを設定した上で行っていきます。
姿勢改善プログラム
ADHDの患者様によくみられるのが「姿勢の悪さ」です。ストレートネック、巻き肩、猫背、反り腰などがよく見られます。これらの姿勢は肩こりや腰痛だけではなく、呼吸の浅さや自律神経の乱れにつながっています。体の状態と精神症状は密接な関係があり、体調不良時は不注意などのADHD症状が出やすくなります。まずは正しい姿勢を身につけ、体調を整えることがADHD症状改善に重要と考え、必要な患者様には姿勢改善プログラムを実施しています。
※上記サポートは当院で診断され通院中の患者様に行っています。他院通院中の患者様には実施できません。詳しくは電話でお問い合わせください。
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